お墓を相続するには?
相続が発生した場合に、お墓の相続はどうなるのか?遺産の相続とは違うのか?疑問に思う方がいらっしゃるかと思います。今回は、お墓の相続について解説します。
目次
1.お墓と遺産、相続の違いは?
2.お墓を相続する祭祀承継者(さいししょうけいしゃ)と役割は?
3.お墓を相続する祭祀承継者の決め方は?
4.お墓の相続、手続きと流れ
5.お墓の相続放棄はできるのか?
6.まとめ
1.お墓と遺産、相続の違いは?
お墓の相続は、お墓の権利と管理を引き継ぐことになります。また、お墓だけでなく仏壇仏具など祭具も引き継ぐこととなり、法要も主宰することが一般的となっています。預貯金や不動産とは違い、お墓や仏壇仏具などの祭具は遺産相続の対象とはなりません。お墓や仏壇仏具は、財産価値を付け遺産分割する性質ではないことから、遺産分割協議で分けることはせずに「祭祀承継者」が引き継ぐことが多いです。
2.お墓を相続する祭祀承継者(さいししょうけいしゃ)と役割は?
お墓を相続するのは、祭祀承継者と呼ばれる人になります。祭祀承継者とは、その一族の代々の先祖を祀ったり法要を行うなど、祭祀を引き継ぐ人であり、祭祀に必要となるお墓、仏壇仏具、その他の祭具、家系図や先祖代々の系譜なども引き継ぎ管理をします。役割として、「お墓の維持管理」「遺骨やお墓の管理処分」「法要の主宰」などを行いますが、法要などは絶対的な義務というわけではないので、祭祀承継者自身の裁量や都合、慣習などによっては行われない場合もあります。
3.お墓を相続する祭祀承継者の決め方は?
①故人の意思により決まる
先代の祭祀承継者が生前に次の祭祀承継者を指定していた場合、その意思が優先されることになります。生前に周知されるかたちで述べていた場合や遺言によって祭祀承継者を指定していた場合、指定された人がお墓を相続することとなります。
②慣習により決まる
故人が指定していない場合には、慣習により祭祀承継者を決定することになります。例えば、その家族では代々長男が祭祀を承継してきた場合など、地域の慣習などによって次の祭祀承継者が決まります。
③家庭裁判所の決定より決まる
故人の意思が不明で慣習によっても決められない場合、家庭裁判所によって祭祀承継者を決定します。祭祀承継者指定調停を行い、相続人同士での話し合いを行います。合意できない場合には審判となり、家庭裁判所が身分関係、候補者の自宅とお墓の距離、従前の管理に関する経緯、候補者が祭祀承継者になることを望んでいるか、管理能力、利害関係人の意見などを判断して祭祀承継者を指定することになります。
4.お墓の相続、手続きと流れ
①祭祀承継者の決定 | まず、祭祀承継者を決定する必要があります。 遺言や慣習、親族同士で話し合いで祭祀承継者を決定します。自分達で決定できない場合には家庭裁判所の調停・審判で決定してもらいます。 |
②お寺や霊園などに連絡 | 祭祀承継者が決まれば、お墓のある霊園やお寺などに連絡を入れ、相続が発生したことを伝えることで名義書換の方法を説明してもらえます。 |
③お墓の名義変更 | ・墓地使用権を取得した際に発行された書類(墓地使用許可証、永代使用承諾証など) ・先代の遺言書 ・親族の同意書 ・家庭裁判所での審判書 |
④名義変更による手数料 | 金額は、墓地の種類によって異なります。公営墓地の場合には、数百円から数千円程度のところが多いです。 お寺の場合には、親族や他の檀家に相場を聞いたりお寺に直接尋ねましょう。 |
5.お墓の相続放棄はできるのか?
結論から言いますと、お墓の相続放棄はできません。お墓や仏壇仏具や祭具などは、1で解説した通り、遺産相続の対象とならないため相続放棄とは無関係となります。相続放棄をしても誰かがお墓の管理を行うこととなります。ですから、被相続人が多額の借金により相続人全員が相続放棄をしたとしても、基本的にお墓や仏壇は残すことができます。
6.まとめ
相続が発生した際、預貯金や不動産などの財産の手続きにとらわれがちです。お墓や仏壇仏具の問題もありますので、相続発生時には注意しましょう。生前に遺言を作成して誰にお墓を管理してもらうのか指定しておくことをおすすめします。遺言作成や祭祀財産の承継方法でお困りの際は専門家に相談してみましょう。
今回は、お墓の相続について解説させて頂きました。司法書士法人やなぎ総合法務事務所では、遺言作成に関するご相談やご依頼を数多く取り扱っており、実務においても経験豊富な弁護士、司法書士、行政書士、税理士、CFP、土地家屋調査士等の専門家が問題解決、目的達成に向けて取り組みます。
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著者情報
代表 柳本 良太
- <所属>
- 司法書士法人 やなぎ総合法務事務所 代表社員
- 行政書士法人 やなぎKAJIグループ 代表社員
- やなぎコンサルティングオフィス株式会社 代表取締役
- 桜ことのは日本語学院 代表理事
- LEC東京リーガルマインド資格学校 元専任講師
- <資格>
- 2004年 宅地建物取引主任者試験合格
- 2009年 貸金業務取扱主任者試験合格
- 2009年 司法書士試験合格
- 2010年 行政書士試験合格